2022.6. 今後の医療の形
学生団体DUS 6月のゲスト回
今回のゲスト回は、医療法人社団 壮仁会 三鷹あゆみクリニックの院長 高橋壮芳さんにお越し頂き
今後の医療の形についてお話を伺いました。
高橋さんの略歴を載せさせて頂きます。
平成14年3月 名古屋大学医学部医学科 卒業
平成14年4月~平成20年11月 東京ほくと医療生活協同組合 王子生協病院 勤務
平成21年4月~平成23年1月 医療法人社団緑の森 さくらクリニック 勤務
平成23年3月 三鷹あゆみクリニック 開設
平成24年2月28日 医療法人社団 壮仁会 設立
平成25年5月10日 新百合ヶ丘あゆみクリニック 開設
平成30年7月1日 三鷹あゆみ訪問看護ステーション 設立
令和3年8月 三鷹あゆみ訪問看護ステーション 飛田給サテライト 開設
令和3年9月 西東京あゆみクリニック 府中あゆみクリニック 開設
現在に至る
最初は、高橋さんの今までの道のりを聞かせていただきました。
元々、高橋さんの家系に医者の職業の方はいなかったそうです。
高橋さん自身もあるきっかけがあるまで医者という職業に興味が無かったそうです。
高橋さんは、学生時代にご自身のおじいさんの看病を行っていました。
そのおじいさんが亡くなられた時、そばにいた当時高校2年生だった高橋さんは自身がそばにいたにも関わらず
何も出来ないことを歯痒く思い、医者であればそれを感じないだろうと考え、
その瞬間に今まで興味も無かった医者になることを決められたそうです。
医者の道は決して簡単なものではなく高橋さんは4年間の浪人期間を経て名古屋大学医学部に入学されました。
しかし、入学した大学は「よい」医師を養成する場ではないと高橋さんは感じ、自分の方針で市内の病院に研修に行きました。
研修医を経てやっと医者になった高橋さんは、元々希望していた無医村で開業する予定でしたが、ご自身のご家族の事情で東京に残ることになり2年間在宅クリニックに勤務されました。
2年間のクリニックでの経験を経て、現在運営されている三鷹あゆみクリニックを開業されました。
あゆみクリニックでは、病院での治療とは異なり、患者さんやご家族のご意見を一番に考えてその患者さんに良いよう
オーダーメイドの医療を展開しています。
今後の医療の形について
医師になるまでの道のり、医療業界の仕組みを伺ったのちに、今後の医療の方向性について高橋さんの意見を伺いました。
今後医療業界について高橋さんは、間違いなく大きく変化するとお話してくださいました。
ではどのように変化していくのでしょうか?
まず、挙げられるのはICT技術の進化です。
AI、ビックデータ、ロボティクス、など先進的な技術の発展により医療業界にはこれから数十年以内(場合によっては数年以内)
には大きな変化が訪れると予想されています。
例えば、ロボティクスの分野では既に遠隔手術が可能になっています。
遠隔手術が可能になったということはいずれこの地球上どこにいても、世界一の名医のオペを受けることが可能になります。
膨大なデータから答えを出すAIによってより正確な診断が可能になり、
ロボテクスによって世界一の名医のオペが受けられるようになった世界では、
肩書きだけ、あるいは力のない医者は必要なくなるということです。
では、医者という職業は今後なくなるのでしょうか。
それはない、と高橋さんは話します。
今後の社会ではどのような医者が必要とされるのでしょうか?
高橋さんの予想では、超専門的な医師、又はメンタル面のケアができたり、
AIで出された診断を踏まえて患者さんにとってベストな解決策を探し出せる医師が必要とされるということでした。
超専門的な医師とは、日本中から、世界中から、必要とされるほどの専門的な知識や実力を持ち合わせている医師を指します。
メンタル面のケアができる医師とは、今ある職業でいうと看護師やセラピストのような職種です。今後のデジタル化が進んだ
社会において人間であるがゆえに行えることは、人間が持ち合わせている情や思いやりを駆使した仕事です。
例えば、お腹の痛い子供のお腹を母親が撫でるだけで、お腹の痛い子供は痛いのが治ることがあります。
科学的には証明できませんが、確かに子供は痛みを訴えなくなることがあります。
今後の社会では、この母親のように一人一人の患者に対して寄り添える医師が必要になってくるということです。
その証拠にオックスフォード大学のマイケル・A・オズボーンという学者が書いた、「雇用の未来」という論文の中では、
コンピューター化される可能性が低い職種の1位がレクリエーションセラピストとなっています。
また、今後の医療は早期に発見し治す医療から予防の方向に向かうとも高橋さんは話します。
治すことを極めると同時並行にそもそも病気自体を予防するということが、今後の社会において必要な医療のあり方だと
お話していただきました。
Q&A
高橋さんにミーティングを通して質問を行わせて頂いたので、その一部をご紹介しようと思います。
Q、高橋さんの人生においての後悔はなんですか?
A、自分の人生において、偶発的にことが進み自身の決めたことが少なかったのでそこが一番の後悔です
Q、医者という職業の良いところを教えてください。
A、自分の仕事が誰かのためになっているということが、ダイレクトに患者さんから感じられることがこの仕事において
一番やりがいを感じるとこです。
Q、安楽死についての考え方を教えてください。
A、自分がやっていることは、訪問医療なので時には処置をしないという選択をすることがあります。
自分が、医療を施している中でその患者さんを理解しご家族ご本人のご意見のもと、そのような選択を行います。
このような選択は、言い方を変えれば消極的安楽死となります。
苦しい期間を長引かせてしまうかもしれない中、寿命を少しでも延ばすことが良いか、又は、苦しい期間を経ずに寿命を終えるか。
それは、最終的に患者さん、又は、ご家族の判断になります。
苦しい期間を経ずに温かい家族の中でゆっくりと人生を終えることは、間違った判断ではないと思います。
今の私は、消極的安楽死で苦しまずに人生を終える方が、苦しんで終えるよりはいいのではないかと感じています。
編集後記
今回のミーティングで高橋さんは、ご自身が今、医療の世界で感じることまた普段考えていることを話していただきました。
ミーティングに参加したメンバーからは、「医師に対するイメージが大きく変わった」「医療業界の現状が知れてよかった」
「医療の世界を知るきっかけとなった」などの感想が聞けました。
自分も医師に対してのイメージが大きく変わりました。
高橋さんのお話を聞いて、高収入、高慢など医師に対しての先入観が、僕を含めメンバーにもあったことに気がつきました。
確かに医師の種類においては、そのようなイメージが当てはまることもあるようです。
しかし、高橋さんをはじめ多くの医師の方の中には、患者さんに寄り添いその方にとっての最善を考えその方に寄り添った治療を
しておられる方がいることを知りました。
「医師」という職業においても多くの役割があり、全く違う業務が存在することを知りました。
高橋さんは、今回のミーティングへのご参加をお願いした際、ご自身で全てのスライドを作成してくださり、当日も
設定時間が足りないほど、多くのことを教えてくださいました。
実際に医師になるまでの苦労、医療業界の現状と問題、今後の医療において必要なこと、など、
ご自身の人生のお話から、医師でなければ知り得ない貴重な情報まで多くのことを学生でにもわかりやすく話してくださいました。
我々としても、とても多くのことを学べて、大いに実りのあるミーティングになったと思います。
今回は、団体としても初めてのゲスト回でした。
初めてのゲスト回から、とても厚みのあるミーティングをさせていただきました。
メンバーからも多くの反応を頂き、個人的にはとても嬉しく思っています。
団体の活動に協力して下さった高橋さん、本当にありがとうございました。
全体で約1時間半のミーティングでしたが、全てを記入することは難しいため大きなトピックを抜粋して書かせていただきました。
編集者 Fusanosuke izumi
0コメント